ダム構造物

豊平峡ダム

写真提供:北海道土木技術会コンクリート研究委員会委員

構造物名 豊平峡ダム
構造形式 アーチ式コンクリートダム
目的 洪水調整、上水道用水、発電
構造諸元 堤高102.5m、堤頂長305.0m、堤体積285×10³m³、湛水面積150ha、総貯水量47,100×10³m³
事業者 北海道開発局
設計者 北海道開発局直営
施工者 大成建設(株)、地崎工業(株)
所在地

札幌市 42°54′56″N,141°09′12″E

水系/河川 石狩川/豊平川
完成年 1973年(昭和48年)竣工
概要

 豊平峡ダムは、堤高102.5m、堤頂長305.0mの放物線アーチ式コンクリートダムである。アーチ式コンクリートダムは鳥瞰形状が半円形や放物線のダムで、水圧荷重をアーチ作用で両岸の岩盤に伝達する構造である。そのため、両岸の岩盤は堅硬で丈夫でなければならないが、ダムの厚さを薄くできるのでコンクリート量が少なくてすむ利点がある。北海道内のアーチ式コンクリートダムにはこのほか奥新冠ダムがある。

 ダムサイトの地形は、左右岸に露出した岩盤が切り立ち、V字形をしていることから、当初は重力式とアーチ式の両形式が検討された。その後の調査で河床部に弱層が見つかった。この弱層に応力が集中する重力式よりも大半の応力を両岸に伝達するアーチ式が技術的・経済的に有利なため、放物線アーチ式を採用した。

 セメントは中庸熱ポルトランドセメントを使用した。河床の弱層部は薄肉のアーチ幅ではせん断強度が不足するため、河床最低標高375.0mから標高400.0mまでの範囲に別途サドルを設ける設計とした。その際、建設省土木研究所の指導のもと、応力解析と模型実験を実施した。また、27地点の現位置岩盤せん断試験と79地点の平板載荷重試験を実施して、その試験値を設計に反映させた。

引用文献:「北海道におけるコンクリートダムの歴史」(北海道土木技術会コンクリート研究委員会)
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